カプセルトイやブラインドボックスのように、「買ってみるまで何が入っているか分からない」商品があります。
少し不思議なのは、普通なら中身を確認してから買いたいはずなのに、ここでは分からないこと自体が楽しさになっていることです。
ManiaMatrixでは、この現象を「B:買う心理 × ③即時フィードバック」という構造から考えます。
いま、何が起きているのか
カプセルトイをはじめ、中身をランダムにした商品は珍しい販売方法ではなくなっています。
日本カプセルトイ協会が2026年2月に公表した調査では、2025年度のカプセルトイ市場は製造元出荷ベースで約1,960億円。前年度の1,410億円から39%増加したとされています。(プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES)
もちろん、この数字だけで「すべての買い物がガチャ化している」とはいえません。
ただ、欲しい商品をそのまま選ぶのではなく、買ったあとに何が出るかを確認するという消費体験が、大きな市場をつくっていることは注目できます。
気になるのは「ガチャ」そのものではない
ここで考えたいのは、カプセルトイが人気だということではありません。
もっと面白いのは、私たちがときどき、結果が分からない買い物にわざわざ惹かれることです。
普通の買い物なら、
欲しいものを見つける
↓
買う
↓
手に入れる
で終わります。
ところがランダム商品では、
買う
↓
まだ結果が分からない
↓
開ける
↓
初めて結果が分かる
という一段階が加わります。
つまり、商品を手に入れるだけだった買い物に、「結果発表」まで組み込まれているのです。
ManiaMatrixで見ると「B:買う心理 × ③即時フィードバック」の構造
ManiaMatrixの③即時フィードバックとは、自分が何か行動した直後に、結果や反応が返ってくることで次の行動につながりやすくなる構造です。
ランダム商品では、この流れが非常に分かりやすく現れます。
買う
↓
開ける
↓
結果が出る
↓
「欲しかった」「違った」という感情が動く
↓
次の商品が気になる
重要なのは、買った瞬間ではなく、その直後にもう一度感情が動くことです。
欲しいものが出ればうれしい。予想外の商品でも「これはこれで面白い」と感じることがあります。反対に目当ての商品が出なければ、「次なら出るかもしれない」という未完了感が残る場合もあります。
不確実性を利用したマーケティングについての研究でも、ランダムボックスなどの「結果が事前には決まらない仕組み」が、新しい体験価値や商品への関心につながる可能性が論じられています。(J-STAGE)
つまり私たちは、商品だけではなく、結果が明らかになる瞬間まで含めた体験を買っているとも考えられます。
私たちは何に反応しているのか
この構造は、カプセルトイだけに存在するものではありません。
たとえば、福袋も似ています。
中身が完全に分かっている袋なら、それは普通のセット販売です。何が入っているか分からないからこそ、「開ける」という瞬間に意味が生まれます。
トレーディングカードを開封するときも同じです。2025年度の日本玩具市場では、「カードゲーム・トレーディングカード」が3,384億円となり、玩具市場の約30%を占めています。(日本玩具協会)
もちろん、そのすべてがランダム性によって売れているわけではありません。
それでも、商品を選ぶだけではなく、開けるまで結果が確定しない体験が買い物の一部になっていることは共通しています。
私たちは「物」だけに反応しているのではなく、
まだ分からない
↓
知りたい
↓
すぐ確かめられる
という短い流れにも反応しているのです。
この仕組みを知ると、見え方が少し変わる
ランダム商品を何度も買いたくなることを、単純に「意志が弱い」で説明する必要はありません。
そこには、人間の好奇心だけでなく、商品を購入するとすぐに結果が返ってくる仕組みがあります。
普通の買い物なら、「欲しい商品を手に入れた」で一区切りです。
しかしランダム商品では、「何が出た?」という小さな出来事が購入のたびに発生します。
だから買い物が、単なる商品の取得ではなく、一回ずつ結果の違う体験になります。
こうして構造として眺めてみると、「また買いたくなった」という瞬間にも少し違う見方ができます。
商品が欲しいのか。
それとも、もう一度あの結果を見る瞬間を味わいたいのか。
この二つは、似ているようで少し違います。
まとめ|買い物の「ガチャ化」から見えるもの
カプセルトイやブラインド商品が面白いのは、中身が分からないから不便なのに、その不便さ自体が体験へ変わっていることです。
ManiaMatrixで見ると、そこにはB:買う心理 × ③即時フィードバックの構造があります。
買う。開ける。結果が分かる。感情が動く。そして、もう一度が気になる。
ランダム商品という販売形式は変化していくかもしれません。
しかしその奥にある、「分からないものを確かめ、その結果に反応したくなる人間の心理」は、ずっと以前から存在しているのです。
関連記事のリンク